HC染料の基本!安全性や塩基性染料との違いを美容師が解説

HC染料

HC染料は、白髪染めやオシャレ染めに使われるヘアカラー剤の1つ。

安全性が高く、便利な染毛料として人気。多数のメーカーが、HC染料を配合した製品を多く販売しています。例えば、ヘアマニキュアやカラーシャンプー、カラートリートメント、カラーバター、ヘナ等…

特に、次のような人にオススメしたい染料。

  • 美容院で染めた髪色を長持ちさせたい方
  • 少しづつ白髪を染めたい方

ところで、HC染料は塩基性染料と同じく、新しい染毛料ということをご存知ですか?それゆえ情報が少ないのが現状。

そこで、今回は、HC染料の構造や安全性、塩基性染料との違いを分かりやすく説明していきます。ぜひ、参考にして頂ければ幸いです。

HC染料とは

カラーシャンプー,ヘアマニキュア,カラーバター

HC染料とは、主にヘアマニキュアやカラーシャンプー、カラーバターなどに補助的に使用される染料。塩基性染料の発色を助け役として、一緒に配合されることが多い。ヘアカラーの成分表には「HC青2」「HC黄色2」「HC黄色4」などと表記されています。2001年の規制緩和で登場した新規染料の1つ。

新規染料とは

2001年の化粧品規制緩和により、化粧品への配合が可能になった塩基性染料やHC染料を配合した染毛料のこと、主に、ヘアマニキュアやカラーシャンプー、カラートリートメント、カラーバター、ヘナ等に配合されています。

HC染料メインのヘアカラー剤のオススメユーザー

  • ビビットな発色を楽しみたい方(カラーバター等)。
  • 次回カラーチェンジしたくて、かつ、色味をしっかり出したい方。
  • ヘアカラーの退色を抑えたい方(HC染料配合のカラシャンなどの使用)。

HC染料の分子構造と染毛メカニズム

HC染料の小さい分子は毛髪内部まで浸透・着色

ph等電点,アルカリ,中性,酸性図

HC染料の分子は小さく、キューティクル(髪の表面)の隙間から侵入し、毛髪内部まで浸透・着色することが可能。
ただし、流出しやすく退色しやすい。なぜなら「HC染料は、イオン結合はせず、ただ分子間力によって染着しているだけ」だからです。つまり、HC染料は、どちらの電荷(プラス+・マイナス−)も持たず、イオン性がない(中性)ので、染着力は弱くなっています。

この染着力が弱さを補うために、塩基性染料と併用されることが多い。色落ちはおよそ1~2週間程度(塩基性染料と組み合わせた場合)。

薬事法ではHC染料は染毛料(化粧品)に分類される

国が定めた薬事法上、「HC染料」は「染毛料」に分類され”化粧品”として扱われます。一方、一般的な「ヘアカラー(酸化染毛剤)」は「染毛剤」に分類され”医薬部外品”として扱われます。

分類 名称 主要成分 pH 色持ち
染毛剤(医薬部外品) 酸化染毛剤 1剤=酸化染料、アルカリ剤
2剤=過酸化水素水
中性~アルカリ性 2~3ヶ月
非酸化染毛剤 1剤=ポリフェノール、金属イオン アルカリ性 1ヶ月
脱色剤 1剤=アルカリ剤
2剤=過酸化水素水
アルカリ性
染毛料(化粧品) 酸性染毛料 酸性染料、浸透剤、酸 酸性 3~4週間
新規染毛料 塩基性染料、HC染料 弱酸性~アルカリ性 1~2週間
毛髪着色料 顔料、油溶性染料 1日

また、HC染料は半永久染毛料に分類されます。

ヘアカラーの種類,白髪染めの分類

HC染料のメリット&デメリット

HC染料の特徴をメリット、デメリット含めてご紹介。HC染料は、白髪染めやヘアカラーの退色予防として、連日使用することで少しずつ色味を補給することができます。またジアミン系のような刺激性はほとんどなく、比較的安全に髪を染めることが可能。

メリット

  • 毛髪へのダメージがなく、安全性が高い。
  • アレルギー反応(頭皮かぶれなど)が少なく(頻度小)、安全性が高い。
  • 地肌に付着しても取れやすい。

デメリット

  • 色持ちが悪い。
  • 明度アップできない。
  • 髪を洗うたびに退色する。

塩基性染料との違い

HC染料と塩基性染料の違いについて確認しましょう。ちなみに、軽く塩基性染料について復習しましょう。

塩基性染料とは?HC染料との違いを軽く復習

塩基性染料は、主にカラートリートメントやヘアバターに配合される染料。成分表には「塩基性青99」などと表記されています。塩基性染料は分子が大きく、プラスの電荷を持っているので毛髪表面のマイナスイオンとイオン結合します。特に、ハイブリーチをした髪はダメージレベルが高くマイナスの電荷を多く持っているので、塩基性染料がくっつきやすくなっています。

HC染料は「小さい分子がキューティクルの隙間に入る」ことで、毛髪を傷つけることもなく着色します。塩基性染料は分子が大きいため、キューティクルの隙間に入ることはできませんが、イオン結合をするのでHC染料より長い色持ちが期待できます。

HC染料は塩基性染料と相性がGood◎

HC染料は作れる色が多いのに対し、塩基性染料は作れる色が少なくなります。また、HC染料が色持ちが悪いのに対し、塩基性染料は色持ちが向上しています。その為、HC染料と塩基性染料を組み合わせることで、色味・着色の問題を互いに解消することができます。

HC染料は安全性が高くかぶれ等のアレルギーの心配は少ない

HC染料は、化粧品なので染毛力は劣りますが、キューティクルを開かず髪を染めるので毛髪へのダメージはありません(pH弱酸性~アルカリ性)。一方、一般的なヘアカラーは、医薬部外品なので染毛力は高いですが、アルカリ剤や過酸化水素の力でキューティクルを開き、着色するので毛髪が傷やすくなります(pHアルカリ性)。

HC染料や塩基性染料は、一般的なヘアカラー剤(酸化染料・ジアミン系)に比べると低刺激なので、かぶれやアレルギーは起こりにくいです。ただ、リスクは0%ではないため、念のためにパッチテストしておきましょう。

「pH(ペーハー・ピーエッチ)」と毛髪の関係性|ヘアカラー・ブリーチ・パーマ剤は何性(酸性〜中性〜アルカリ性)?