界面活性剤とは?シャンプーの気になる成分を学ぼう

界面活性剤

あなたのシャンプーやリンスには界面活性剤は入っていますか?

先日、美容師が「市販のシャンプーに入っている界面活性剤には、毒性があるのでキケンです!ウチのサロンが販売しているシャンプーは、界面活性剤が配合されていないので安全です!一度試してみませんか?」といった宣伝文句で、お客さんにシャンプーを勧めているケースに遭遇しました。

しかし、これは正しい知識とは言えません。

なぜなら、汚れを落とし毛髪や頭皮を綺麗にするというシャンプーの働きには、界面活性剤は不可欠な成分だからです。シャンプーと名の付く製品には、大なり小なり界面活性剤が成分として配合されています(サロン専売品シャンプーも例外ではありません)。

では、なぜ「界面活性剤=ダメなもの→毒」といった間違った知識が、一部で広まってしまったのでしょうか?ここからは、その謎を”界面活性剤の構造や種類と働き”を元に紐解いていきましょう。

界面活性剤とは

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そもそも界面活性剤とは、何なのでしょうか?

界面活性剤(英語:Surfactants)とは、「水に溶ける構造(親水基)」と、「油に溶ける構造(親油基)」の両方の性質をもつ物質のことです。主に、シャンプーやリンス、石鹸、洗剤などの成分として配合されています。

分かりましたか?これでは、少し難しくて分かり難いですよね。

そこで「界面活性剤とは何なのか?」その働きを分かりやすく説明していきたいと思います。

界面活性剤の働き

シャンプーに入っている界面活性剤

シャンプーや洗剤に、なぜ界面活性剤が配合されているのでしょうか?その理由を説明していきます。

頭についた埃や汗(水分や塩分)といった汚れの多くは、湯洗いだけでも落とすことが可能です。なんと、湯洗いだけで80%の汚れが掃除できるとも言われているくらいです。シャンプーを使わなくても、ほとんどの汚れが落ちるとは驚きですよね。

ですが裏を返すと、残り20%の汚れは、そのまま残ってしまうというわけです。特に、皮脂やスタイリング剤などの汚れは、湯洗いだけで綺麗に落としきることは困難です。

しかしなぜ、皮脂やスタイリング剤といった汚れは湯洗いで洗浄できないのでしょうか?実はこの疑問の中に、界面活性剤の働きを説明するヒントが隠されているのです。

水と油は反発し合う関係!

ところで、みなさん「水と油」ということわざは知っていますか?

「水と油」とは、お互いに反発しあって混ざり合わないという意味のことわざです。

実際に「水」と「油」は、ことわざのように反発し合う関係にあるため、通常の状態では混ざり合うことはありません(水と油を混ぜ合わせると、きっと水上に油が浮いているはずです)。

したがって、皮脂やスタイリング剤などに含まれる油性の汚れは、水やぬるま湯で洗ってもなかなか落ちないのです。

皮脂やスタイリング剤が頭皮に残ると、ベタベタするだけでなく”頭皮の臭いの原因”となることもあるので注意が必要です。

頭皮の臭いの原因

では、どうすれば油性の汚れを、綺麗に洗浄することが出来るのでしょうか?

界面活性剤は反発し合う水と油を仲良くさせる

界面活性剤の構造と働き

そこで、ガンコな油性の汚れに効果を発揮するのが界面活性剤なのです。皮脂を落とすには、シャンプー剤に含まれている界面活性剤の力が欠かせません。

先ほど確認したように、界面活性剤には、「水に溶ける構造(親水基)」と「油に溶ける構造(親油基)」の両方を併せ持つ物質です。

この界面活性剤の構造の働きで、本来反発し合う「水」と「油」の関係を、うまく馴染ませ仲直りさせることが出来るのです。

主な界面活性剤の作用

「実際に、界面活性剤がどのようにして頭皮や毛髪についた汚れを洗浄するのか」その作用をいくつかの段階に分けて説明していきましょう。次のような複数の界面活性剤の機能が連携し合うことで、汚れが洗浄されます。

起泡
界面活性剤を溶かした水は、気泡を取り込み壊れないように安定化することで、泡立ちが良くなります。
浸透・膨潤
界面活性剤が、頭皮や毛髪にしみ込み浸透することで、汚れがくっつく力を弱めます。また、汚れを膨潤させて浮かび上がらせ引き離します。
乳化・分散
界面活性剤の親油基が、油性の汚れに付着しシッカリと取り囲みます。そして、引き離された汚れを分散させシャンプー剤と混ざり合わせます。そして、水やお湯で洗い流すことでスッキリ綺麗になります。
再付着防止
一度引き離された汚れが、再度毛髪に付着するのを防ぎます。
帯電防止や殺菌効果もある
さらに、界面活性剤にはシャンプーに期待される洗浄作用以外にも、リンスに期待される静電気を防止する作用や殺菌作用もあります。

界面活性剤の種類

界面活性剤は、非常に便利な物質ですよね。何一つ欠点がないように感じられます。しかし、その便利さ故に、引き起こされる問題があるのも事実です。そして、この問題が「界面活性剤→ダメなもの→毒」といった極端な考えを引き起こしたと考えられます。

まずは、この問題の正体を掴む為に、界面活性剤の種類と特徴を知る必要があります。

界面活性剤4タイプ(アニオン・カチオン・両性・ノニオン)の特徴

界面活性剤は、水に溶けた時の性質から次の4タイプに分かれます。それぞれの特徴を表にまとめてみました。

種類 構造 特徴 主な用途
アニオン界面活性剤(陰イオン性界面活性剤)

アニオン界面活性剤,陰イオン性界面活性剤

水に溶けるとマイナスのイオンを帯びる。

洗浄作用に優れている
乳化・分散性に優れている
泡立ちが良い

シャンプー
ボティーソープ
衣料用洗濯洗剤

カチオン界面活性剤(陽イオン性界面活性剤)

カチオン界面活性剤,陽イオン性界面活性剤構造

水に溶けるとプラスのイオンを帯びる。

帯電防止効果
柔軟作用に優れている
殺菌性がある

リンス・コンディショナー
トリートメント
シャンプー
衣料用柔軟剤

両性界面活性剤

両性界面活性剤構造

水に溶けるとプラスとマイナスのイオン両方の性質を帯びる。酸性領域ではマイナス(カチオン性)を、アルカリ領域ではプラス(アニオン性)を帯びる。

低刺激で肌に優しい
水に溶けやすい
多剤との相乗効果(多種類の界面活性剤と併用することで、泡立ちや低刺激性を向上)

低刺激性のシャンプー(ベビーシャンプーなど)
ボディーソープ
台所用洗剤

ノニオン界面活性剤(非イオン性界面活性剤)

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水に溶けてもイオンを帯びない。数種類の界面活性剤と併用することで、洗浄力や粘性を高めるなど機能性を向上させる。

乳化・可溶化力に優れる
親水性と疎水性のバランスが簡単に調整できる
泡立ちが悪い

衣料用洗剤
分散剤

シャンプー剤に配合される界面活性剤3タイプ(高級アルコール系、石鹸系、アミノ酸/ベタイン系)の特徴

先ほどの表からも分かるように、シャンプー剤の主成分として配合されいるのは、アニオン界面活性剤と両性界面活性剤です。

  • アニオン界面活性剤は、洗浄力が高く、泡立ちも良い。刺激が強い。
  • 両性界面活性剤は、洗浄力は適度、泡立ちは少し悪い。刺激は弱い。

そして、シャンプー剤に含まれている界面活性剤は、おおよそ次の3タイプに分かれます。

  アニオン界面活性剤 両性界面活性剤
  高級アルコール系 石鹸系 アミノ酸系/ベタイン系
洗浄力 高い。泡立ちにも優れている。 高い。毛穴の汚れまでしっかり取れる やや弱い
刺激 皮膚や髪に対する刺激が強い。 頭皮への刺激が弱い。 アミノ酸系/ベタイン系の界面活性剤は低刺激のため、シャンプー回数を多くしても頭皮を傷める心配は少ない。
合う人 脂性肌向き。地肌に残るとトラブルを起こしやすいので、よく洗い流すことが必要です。天然系と石油系があり、石油系は刺激が強いので肌の弱い人には不向き。 アルカリ性のため、髪を膨潤させ、パサつきやきしみを感じたりするので、髪の長い人などには不向き。 合成と天然のものがあり、天然のものは、アレルギー体質の人、頭皮が乾燥気味の人、頭皮トラブルのある人向き。肌に優しい弱酸性のものがおすすめ。

シャンプーに含まれる界面活性剤が引き起こす問題

シャンプーに含まれる界面活性剤の中で、主に色々な問題を引き起こすとされるのはアニオン界面活性剤です。特に、洗浄力・脱脂力が強力な高級アルコール系の界面活性剤には注意が必要です。

高級アルコール系の界面活性剤

高級アルコール系の界面活性剤として、シャンプーによく使用されるのは次の2種類です。

  • ラウリル硫酸ナトリウム(アルキル硫酸エステル塩,AS)
  • ラウレス硫酸ナトリウム(アルキルエーテル硫酸エステル塩,ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩,AES)

どちらも高い洗浄力・気泡力・脱脂力を持っています。さらに、製造コストも安く済むので、シャンプーの界面活性剤としてよく使用されます。しかし、刺激が強いため次に説明するような問題を引き起こしやすいです(特にラウリル硫酸Naは、ラウレス硫酸Naと比べ、分子が細かく浸透しやすいぶん、トラブルを招きやすくなります。

刺激が強いと肌トラブルを引き起こす

アニオン界面活性剤の洗浄力・脱脂力は強力です。頑固な汚れを綺麗に洗い流すことが可能です。

しかし、このように高い洗浄力を持つアニオン界面活性剤ですが、そのぶん刺激が強く、頭皮や毛髪のトラブルを引き起こしやすくなっています。アニオン界面活性剤を使用することで、頭皮の乾燥や炎症、フケ、かゆみ、髪の毛のパサつき、枝毛、切れ毛、薄毛が引き起こされることもあります。

強力な洗浄力が災いし皮脂を取り過ぎてしまう

さらに、強力な洗浄力・脱脂力により、皮脂を取り過ぎてしまうことも問題です。

「皮脂は、テカテカしたりベタベタするので、根こそぎ完全に洗い落とした方が良い」ように思えますが、答えはノーです。

なぜなら、皮脂は毛髪・頭皮の健康を保つために不可欠なものだからです。

  • 皮脂は、頭皮の水分を蒸発させないように保護する。
  • 皮脂は、毛髪に汚れが直接つくのを防ぐ。
  • 皮脂は、弱酸性の性質を持っていて細菌の発育を抑制する。

また、皮脂を取り過ぎると、体が失われた分を補給しようと、かえって過剰に皮脂を分泌しようとします。この時に、過剰に分泌された皮脂が、頭皮の臭い等の問題を引き起こすこともあります。

界面活性剤による肌トラブルを避ける予防法

すすぎシャンプー

つまり、これら界面活性剤の洗浄力・脱脂力の強さによって引き起こされる問題が、噂を経て「界面活性剤→ダメなもの→毒」といった、界面活性剤の存在そのものを否定するような誤解に繋がったと考えられます。

天然、合成に関わらず、化学物質には「100%安全なモノ」は存在しません。各々の化学物質が有害か、有害ではないかは、そのものが持つ毒性の強さと使い方の組み合わせによって決まります。

したがって、界面活性剤による頭皮・毛髪のトラブルを避け予防する為にも、正しい選び方・使い方を学ぶことが大切です。

比較的マイルドな”アミノ酸系・ベタイン系”のシャンプーを使用しよう

アミノ酸系・ベタイン系のシャンプーは、低刺激で肌に優しくなっています。また、脱脂力も程よくあるので、適度に皮脂を取ってくれるのでオススメです。

ただ、高級アルコール系のシャンプーは洗浄力・脱脂力が強く綺麗にクレンジング出来るので、脂性の肌で皮脂が多い人にはすすめられます。しかし、毎日使用するには刺激が強すぎるので、週に2~3回の使用に留め、残りはアミノ酸系・ベタイン系の低刺激シャンプーの使用をおすすめします。

シャンプーの洗い残しは絶対ダメ!

ここまで界面活性剤について説明してきましたが、一番注意して欲しいのが洗い残しです。

どんなにアミノ酸系の界面活性剤入りのシャンプーを使用していても、洗い残しがあったら頭皮や毛髪に悪影響です。これでは、どんなに低刺激のシャンプーを使用していても意味がありません。その逆で、刺激が強いシャンプーでもしっかりと洗い流せていた場合は、トラブルが少なくて済みます。

シャンプーで洗った後は、綺麗に水やお湯で洗い流しましょう。

正しいシャンプーのやり方