色落ちは嫌!ヘアカラー・白髪染めの退色・変色の原因&防止法6選を美容師がお答えします!
ヘアカラー・おしゃれ染め・白髪染めで避けて通れない色落ち。
髪を染めた経験がある方なら、誰しもがヘアカラー・おしゃれ染め・白髪染めの退色・変色に悩んだことがあるはず。例えば、カラーリング後にこんな違和感を感じたことがないでしょうか?
「せっかく綺麗な髪色にカラーリングしたのに、1・2週間も経ったら明るいオレンジ色になってきた…」「白髪染めが薄まって、明るい白髪が目立ってきた…」
色落ちは避けられないのが美容業界の常識。ヘアカラーは永遠のものではありません。カラーリングして数日が経過すると、元々の色味が薄くなっていきます。いわゆる退色と呼ばれる現象です。しかし…
なるべく長くお気に入りの髪色を楽しみたいですよね。
お気に入りのブロンドだったのに、数日もしたら退色してきたわ…何が原因なの?誰かヘアカラーの色落ちを防ぐ良い対策法を教えて~
ヘアカラーはどんな条件で色落ちしやすいか知ってる?まず、ヘアカラーがどんな原因で退色・変色するのかみていこう。さらに、ヘアカラーの色落ちを防ぐ方法を美容師が伝授するよ。
ヘアカラー・白髪染めを色落ち(退色)・変色させる原因とは
まずはヘアカラー・白髪染めで染めた髪色が色落ち・変色する原因について説明していきましょう。みなさんご存じのように、ヘアカラーは毛髪内部に染料を浸透させ留めることで髪の毛に色を付けています。
この毛髪内部の染料が、流出することで「色落ち(退色)」を起こしてしまうのです。また、毛髪内部の染料の色が変わる「変色」を起こすこともあります。
ではなぜ、ヘアカラーの染料が流出・変色してしまうのでしょうか。実は、ヘアカラーの退色・変色の原因は、毎日のシャンプーやトリートメント、紫外線などに潜んでいるのです。
シャンプー・トリートメントによるヘアカラーの色落ち
毎日のシャンプー・トリートメントは、ヘアカラーの色落ちを助長させる大きな原因の1つ。
髪が濡れている時は、髪表面のキューティクルが膨潤して開き、染料が流出しやすい状態。この膨潤した髪に対し、シャンプーを使うことで、汚れだけでなく、染料まで洗い流してしまうことで退色が起こるのです。
シャンプーやトリートメントの回数が増えたり、洗浄力の強い製品を使うと、色落ちスピードが早くなります。
ドライヤーやアイロン熱・紫外線によるヘアカラーの変色
ドライヤーやアイロン熱、紫外線などが原因でヘアカラーが変色を起こします。これは、熱・紫外線の影響で毛髪内に留まっていた染料の分子が破壊されることが原因。
変色は温度が高くなるほど、激しくなり、同じ温度の場合は、時間が長くなるほど進みます。したがって、ドライヤーやヘアアイロンによるスタイリング時には注意が必要です。
pHとヘアカラーの退色・変色の関係性
pHとヘアカラーの退色・変色の関係性について整理しましょう。
髪を膨潤させるのは、アルカリ性の状態。つまり、アルカリ性の水をヘアカラー毛に使用すると、退色しやすくなります。逆に、酸性の水を使用することで、キューティクルが収れんして閉じるので、染料が流出しにくくなります。
しかし、単純に酸性の水がヘアカラーの色持ちに良いかと言われると違います。酸性の水に浸けると毛髪の色が変色してしまう恐れがあるからです。つまり、酸性の水は、退色を遅らせるのには効果的ですが、変色のリスクを高めてしまうのです。
キューティクルの隙間から、染料が流れ落ちると「退色」が起こり、pHが酸性に傾いたり熱が加えられたりすると染料が「変色」します。
ヘアカラーの髪色の違いで退色期間の早さに差が?実は色落ちしやすい色・しにくい色がある
ヘアカラーの髪色によっても退色期間が違います。つまり、色落ちしやすい色と色落ちしにくい色が存在するということ。
しかし、なぜヘアカラーの色みによって退色スピードに違いがあるのでしょうか。その答えは、ヘアカラーの色みによって、染料の分子の大きさが異なるため。
退色しやすい染料→分子が小さい、退色しにくい染料→分子が大きい
ヘアカラー剤は、それに含まれる染料(=染料中間体やカップラー)が酸化重合することで発色します。退色しやすい色と退色しにくい色があるのは、染料の結びつき方の違いによって決まります。分子が大きいほど、キューティクルから流れにくく毛髪内部に留まる染料が多く、退色しにくい。一方、分子が小さいほど、毛髪内部に留まる染料が少なくキューティクルから流れやすく、退色しやすくなります。
赤・青・アッシュ系は退色しやすい色、茶系は退色しにくい色
ヘアカラーの色みによって分子の大きさが異なるので、退色しやすい色と退色しにくい色には傾向があります。
赤色・青色・アッシュの色 | 「染料中間体+カップラー」の形で酸化重合して発色。 | 染料2つ分の大きさ。分子が小さいので退色しやすい。 | |
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茶・ブラウン系の色 | 「染料中間体+カップラー+染料中間体」の形で酸化重合して発色。 | 染料3つ分の大きさ。分子が大きいので退色しにくい。 |
ヘアカラーの退色後の色みの変化
ヘアカラーの色落ち後の色みもカラーによって変化します。
- ブラウン系
- 色調は淡くなるが、色みは変わらない。
- カッパー(銅・オレンジ系の茶色)系
- 鮮やかさが失われ、ブラウンに変わっていく
- アッシュ系
- 青みがなくなりグレーにより最終的にほんのりくすんだブラウンに変わっていく
ダメージ毛が健康毛に比べて退色しやすい理由
ダメージの状態でも染まり方が変化します。
髪が傷んだダメージ毛は、健康毛に比べて綺麗に発色しにくく、退色しやすくなっています。
ダメージレベルが進んだ毛束は、キューティクルが剥がれ、コルテックスの空洞化も進んでいるため、染料が毛髪内部に留まりにくく、結果、退色しやすい状態。
ダメージレベル4では「吸い込み(染料の入りすぎ)」。ダメージレベル5では「染着不良(染料の留まりが悪い)」が起きやすくなります。また、ダメージレベルが高いほど、退色しやすくなります。
ヘアカラーの色持ちを考えるなら、縮毛矯正やストレートパーマ、ハイブリーチといったダメージが大きい施術との組み合わせはおすすめしません。
ヘアカラー・白髪染めの色落ちを防ぐ対策法6選
みなさんお待ちかね。
ヘアカラーの色落ちを防ぎ、色持ちを長持ちさせる対策法をご紹介!対策法はいたってシンプル。今まで説明してきた退色・変色の原因を改善することで、色持ちが良くなります。
例えば「カラー用シャンプー、洗浄力がマイルドなシャンプーを使う」「高温のヘアアイロンを使わないこと」「暑いお湯で洗髪しないこと」などの対策法です。
1.洗浄力がマイルドなアミノ酸シャンプーがおすすめ◎
ヘアカラーの髪色をより長く楽しむには、一番こだわって欲しいのがシャンプー選びです。シャンプーを見直し改善することで、色持ちがぐっと良くなりますよ。特に、洗浄力がマイルドな「アミノ酸シャンプー」の使用がおすすめ。
よく市販の安価なシャンプーは、洗浄力の強い「高級アルコール系(ラウリル硫酸Naなど)」の界面活性剤が使われています。高級アルコール系のシャンプーは、洗浄力・脱脂力が強いので、毎日使用すると染料の色抜けが早まり、ヘアカラーした髪には不向き。
ヘアカラーを長く楽しみたいなら、洗浄力がマイルドなアミノ酸シャンプーを選択しましょう。
「アミノ酸シャンプー」は、アミノ酸系界面活性剤が使用されたシャンプー。弱酸性で、マイルドな洗浄力なので、染料がドンドン抜け落ちる心配が少なく退色抑制効果が高いです。また、配合されているアミノ酸が毛髪内に補給され、強度を高めてくれるのも魅力的。
よくアミノ酸シャンプーは「ヘアカラー用シャンプー」といった名称で販売されています。また、毛髪の形状が落ち着き一番ヘアカラーの退色度合いが少ない、pH4.5~5.5(弱酸性)で調整しているシャンプーがおすすめですね。
2.トリートメント・コンディショナーを使いダメージ毛を補修
ヘアカラー後の毛髪は、多かれ少なかれ傷んでいます。ダメージ毛は染料が流出しやすい状態です。したがって、毛髪補修成分・毛髪保護成分を配合したトリートメントやコンディショナーを使ってヘアケアしてあげましょう。
トリートメントに含まれた毛髪補修成分が、キューティクルの隙間を埋めダメージケアすることで、毛髪成分・染料の流出を抑えてくれます。
3.炭酸シャンプーで残留アルカリを除去
ヘアカラー後のダメージの原因である残留アルカリ。毛髪内部に残留アルカリが滞っていることでヘアカラーの退色を早める原因になることがあります。そこでおすすめなのが炭酸シャンプー。炭酸シャンプーを使用することで、アルカリに傾いた毛髪のpHを弱酸性へと導きキューティクルを引き締める効果が期待できます。
。炭酸シャンプーもシャンプーの1種なので少し色落ちはします。ですが、炭酸シャンプーは、ヘアカラー後の処理が疎かになりがちな市販のヘアカラー剤を使ったホームカラーに特におすすめです。
4.カラーシャンプーで流出した染料を補給
ヘアカラーの退色を防ぐには、流出した染料を補給してあげることも大切。
カラーシャンプーやカラートリートメントを使い、お家でホームケアしてあげましょう。カラーシャンプーやカラートリートメントには、通常のシャンプー剤やトリートメントの成分に、HC染料や塩基性染料が配合されています。これら染料成分が流出した染料を補い髪色を長持ちさせる効果が期待できます。
カラーシャンプーは、紫シャンプーやシルバーシャンプーとも呼ばれています。ヘアカラーの退色が気になる方は、自分好みのカラシャンを探してみてはいかがでしょうか?
5.洗い流さないトリートメントで熱・紫外線をガード
ヘアカラー・白髪染めの退色予防には、洗い流さないトリートメントも効果的です。洗い流さないトリートメントには、ドライヤーやヘアアイロンの熱・紫外線から毛髪を守る成分が配合されています。ヘアカラーの天敵である熱・紫外線をガードすることで、色落ちの抑制効果が期待できます。
6.ドライヤー、コテ、ストレートアイロンにこだわろう
熱によってヘアカラーの染料は変色してしまいます。特に、ドライヤー、ヘアアイロン(コテ、ストレートアイロン)の熱には注意が必要です。
なるべく低温での使用をおすすめします。また、最近ではドライヤー、ヘアアイロン(コテ、ストレートアイロン)も進化してきています。なるべくヘアダメージが少ないアイテムを選ぶと良いでしょう。